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バングラデシュのゴミ問題

著者:Ryutaro Kurobozu

バングラデシュのゴミ問題

バングラデシュはインドとミャンマーに挟まれた人口約1億6千万人の国。イスラム教徒が約9割を占める。

世界で一番人口密度が高いと言われている首都ダッカは人や物でごった返し、外に出ればバスも車もバイクも自転車もぐちゃぐちゃ。

バス車バイク自転車

通り
電線

ついでに電線もぐちゃぐちゃ

バングラデシュは活気に満ち溢れ世界でもトップクラスのスピードで経済成長しており、経済レベルの向上と利便さからプラスチックなど便利な加工しやすい物質の普及が進んでいる。

問題なのは、プラスチックが無かった時代と同じようにゴミをポイ捨てしていることだ。生ごみなどの有機物を土に帰るが、プラスチックは土に帰らず残り続けて問題になっている。

首都ダッカの街の様子はこんな感じ。

皆、街がゴミ箱かのようにポイ捨てをする。毎日掃除してるのに翌朝にはこの状況。

街の様子

川もゴミ箱。

川

池もこんなん。

池

ポイ捨てが原因で生活域にこういった不衛生な環境があり、安全で健康的な生活ができる環境ではなくなっている。

このような状況ではあるが一応バングラデシュにも家庭ごみ回収するシステムがあるので簡単に紹介する。

1 家庭からゴミが出る
家庭からゴミが出る
2 ゴミを取りに来る民間業者
ゴミを取りに来る民間業者
3 リキシャ(自転車)バンで運搬
リキシャ(自転車)バンまでごみを運ぶ
リキシャ(自転車)バンで運搬
4 中間集積場のコンテナに入れる
中間集積場のコンテナに入れる
5 トラックで運搬され最終処分場へ
トラックで運搬され最終処分場へ

このような状況の中、不衛生な環境の改善に努めるため南ダッカ市役所廃棄物管理局に配属され青年海外協力隊としてボランティアを行った。

まずは人々の意識改善という観点から先輩ボランティアが行っていたポイ捨ての啓発活動に参加し住民への周知や現地の学生と協力したゴミ拾い活動や植栽活動小学校での環境教育などを行った。

1 5月30日の日付にちなんだ「ゴミゼロ」運動。ごみはゴミ箱に捨てましょうという啓発活動。
5月30日の日付にちなんだ「ゴミゼロ」運動。ごみはゴミ箱に捨てましょうという啓発活動。
2 「私はポイ捨てしません」という署名活動
「私はポイ捨てしません」という署名活動
3 清掃&植栽活動
清掃&植栽活動
4 小学校での環境教育
小学校での環境教育

私は同僚の中から共に活動を行うパートナーを探すところから始めた。理由は現地人と一緒に活動を行うことで私がこの地を去った後も継続的な取り組みにしたかったからである。

各エリアを統括する同僚の中からパートナーを選ぶため約15のエリアに足を運んだ。

3か月ほどパートナー探しをしていたが一緒に活動が出来そうな関係にならずにいた。

そんななか、10分で1周できるほどの小さなエリアのコミュニティーリーダー(その地域の一番の権力者)と出会った。

コミュニティーリーダー(以下CLとする)が自分のエリアをゴミの無い綺麗な環境にしたいという思いを持っており、このエリアをバングラデシュで最も衛生的なエリアにし、ゴミの無いモデル地域になることを目標に、協力して活動を行うこととなった。

私ははじめに路上へのゴミ箱設置を提案した。しかしゴミ箱が盗まれることや政治的な問題で爆弾を仕掛けられた例があったことからCLはあまり気が乗らず、これについては後に防犯カメラを設置してからゴミ箱を設置しようとう話になり、まずはポイ捨ての禁止を促すためにチャドカン(路上にあるバングラのコンビニのようなもの)や人の目につきやすいところにポイ捨て禁止の張り紙をし、CLと一緒に街を巡回しポイ捨ての注意喚起と実際にポイ捨てした人へ注意をして周った。

こうしてやっと現地人の協力者が見つかり活動を始めたが、ホルタルと呼ばれる反政府活動で道路封鎖や公共交通機関のストライキ、時にはバスを爆弾で攻撃するといったことが起こり、自宅待機の指示により活動ができない時期が断続的に続いた。しまいにはイスラム国によるイタリア人や日本人の殺害が起こり、派遣期間半ばにして安全面を考慮して急遽日本への帰国が決まり帰ることとなった。

結局ボランティアとして大したことはできなかったが、現地の人と同じ言葉を話し、同じものを食べ、同じ空気を吸い、たくさんの人々と触れ合い彼らの生活や文化、考えを学ぶことが出来た。

国が異なれば育ってきた環境も違うんだからやはり日々のコミュニケーションでお互いの理解を深め、彼らのライフスタイルに合った形の取り組みにしなければならないと感じた。

日本は高度経済成長期に四大公害が起こり多くの人が苦しんだ。

同じ状況にならないためには、バングラデシュにとって何が良いのか。

日本の経験を活かし、共に考えることが大切だと思った。

赤ん坊

著者について

Ryutaro Kurobozu author

人と人とを繋げ、国境を越えた仲間の輪をゆっくりと広げていきたい。